先日、行われた新人戦県大会において、我がラグビー部が、新チームとして単独チームになって、初トライ、初勝利の栄誉を獲得した。これは、本当に、喜ばしく、
誇らしい出来事であった。ラグビー部は、わずか1年前の4月、(クラブチームと兼部していた部員は除き)正規の部員は3年生のたった4人(常時出ていたの3人)
という状況で、まさに、部としての命は「風前の灯」だったのである。そんな現実を思い返してみると、この出来事は、本当に夢のようなことかもしれない。
ラグビー界からの要請とラグビー精神をこよなく愛し、その精神を武器に、子供達の人格形成を考えていた校長の思いから、部活は存続させたものの、入部した1
年生部員はわずか5人と、厳しい状況は続き、学校での練習はままならなかった。土日のたびに、様々な中学校にお世話になり、合同練習を重ねた日々だった。特に、
合同チームを組んでくれた、深谷中と明戸中には本当にお世話になり、感謝しても、しきれないものがある。これこそ、ラグビー精神の素晴らしさ、絆を大切にし、
試合相手さえも、試合を離れれば仲間であるという、No Sideの精神があるからこそ、こんなことが、容易にできたんだと思う。
先日の試合では、入部した1年生部員の4人が、見事に2年生として成長し、チームをよく引っ張っていた。試合に出る12人の内、わずか4人が2年生、残り8人
は1年生という不利な状況の中、しっかりその存在感を見せていた。これは、彼らが「やる気」になり、「本気」になってくれたから、ラグビーを頑張ることに「やり
がい」を感じてくれたからに他ならない。そして、彼らが「やる気」と「やりがい」を持ってくれたのは、1年生がたくさん入部してくれたこと、それによって、日々
の練習がやりやすくなり、仲間とラグビーをやることの楽しさを知ったからだと思う。そういう意味で、やはり1年生の存在も大きかった。1年生にとっては、6月の
の中旬からラグビーを始めたばかりで、わずか、4カ月の経験しかない生徒もいる。小学校の頃、継続的に運動をしていなかった生徒にはつらい日々であり、いくら、
毎日、まじめに朝練から、コツコツと練習を積み上げてきたとしても、あれだけのプレーを見せるということは本当に驚くべきことだった。この「やる気」と「やりがい」
を持たせることができたからこそ、2年生から1年生へと上中ラグビー部としての命のバトンは確実につながった。
この勝利は、『人間、「やる気」と「やりがい」を持つことができれば、不可能と思えることも可能にすることができる。』ということの典型であった。『不可能なこと
を可能にするには努力が必要である。』というが、この努力も、この「やる気」と「やりがい」があったからこそだと思う。そして、彼らが「やる気」と「やりがい」を持
てたもう一つの大きな要因は、先生の存在が大きかったと思う。先生が常に、生徒たちに寄り添って、親身になって関わったことが子供達の心を動かした。この先生のおか
げで、子供達には、「やる気」という、『心・技・体』のうちの『心』が育ちつつある。あとは、『技』『体』を育てていくことが先生の重要な仕事だと思う。
上中ラグビー部に、復活のためのささやかなのろしが上がった。まだ、まだ、これから大きな壁は目の前に立ちふさがると思うが、今回の経験を大きなエネルギニーに
できれば、いつか、必ずや、胸を張って、『上中ラグビー部、復活!!』と言える日が来ると思う。それを楽しみに、待ちたい。